拝啓、前世の恋人へ。恋知らずな君を千年分の愛で離さない

 彼はまだ『本当に?』でも言いたげな顔で私を見つめている。

「嫌ではありませんでしたよ」
「よかった」

 ふわりとほころぶような微笑みに、目がくぎ付けになった。

 言葉にして伝えただけで、こんなふうに喜んでもらえるの?

 もしかして彼は、私が思っている以上に私のこと気にしてくれているのかもしれない。

「あの……」

 おずおずと切り出すと「ん? どうした?」と小首をかしげられる。目尻が少し下がる優しげな顔にうながされ口を開く。

「東雲さんは……私のせいで嫌な思いはしていませんか?」

 彼は目をしばたたく。

「嫌な思いなんてしたことはないけど」
「でも……無表情だしかわいげもないし」
「どこが。美緒は全部かわいいけど?」

 うぐっと喉が詰まりかけた。

 全部かわいいとかありえないでしょう⁉ やっぱりからかわれているだけなのかも……。