拝啓、前世の恋人へ。恋知らずな君を千年分の愛で離さない

 信じられない。返済しようと思っている端から、借金を作らされていく。まるで悪徳高利貸しに捕まったような気分だ。このままでは後々とんでもないことになるかもしれない。

 恨みがましい目つきで睨むと、彼は困ったように眉を下げた。

「今回の買い物は全部僕の自己満足だから、美緒はなにも気にすることはないよ」
「そういうわけにはいきません」

 即答すると、なぜか彼はふふっと笑った。

「なっ……」

 こちらは真剣に話をしているのに笑うなんてあんまりだ。
 結局彼は私をからかって楽しみたいだけかもしれない。やっぱり居候を断って別の場所を探そうかと本気で思いはじめる。東雲さんは困ったように微苦笑を浮かべた。

「ごめん、美緒。そんなに怒らないで。きみをからかったわけでもばかにしたわけでもないんだ」

 そう言って私を見つめる彼の目がなぜだかとても優しくて、言おうとしていたことがのどの奥に引っ込んだ。

 どうしてそんな目で私を見るの……?

 出会って間もないというのに、彼が私を見る目にときどき懐かしさのようなものが宿るのは気のせいなのだろうか。