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あの日と同じように優雅なエスコートで私を送迎車に乗せた東雲さんは、思いがけないところへと私を連れて行った。
「あの、東雲さん……それって……」
どなたかへの贈り物……ですよね?
何度も自分にそう言い聞かせながら黙って隣にいたけれど、とうとう口に出して聞いてしまった。
とあるコーナーで足を止めてから、かれこれ十分。彼の両手の中にすっぽりと収まっているのは、白銀の地に淡いピンクのグラデーションが入ったご飯茶碗だ。同じ棚にはひと回り大きいブルーのものも置かれている。
「ん? 美緒はこの柄はすきじゃない?」
「いえ……すきか嫌いかで言えばとてもすきな部類に入ります。――が、そうではなくて」
「そうか、よかった。うちには茶碗というものがないから不便だろう? ちょうどいいから一緒に自分の分も買おうかなと思ってね」
予感的中だ。ちらりと値段を見たらゼロが一個多くて思わず変な声が出そうになった。すんでのところでそれをこらえて彼をまじまじと見る。冗談を言っている様子はない。このままでは想定外の出費になってしまうと焦った。
あの日と同じように優雅なエスコートで私を送迎車に乗せた東雲さんは、思いがけないところへと私を連れて行った。
「あの、東雲さん……それって……」
どなたかへの贈り物……ですよね?
何度も自分にそう言い聞かせながら黙って隣にいたけれど、とうとう口に出して聞いてしまった。
とあるコーナーで足を止めてから、かれこれ十分。彼の両手の中にすっぽりと収まっているのは、白銀の地に淡いピンクのグラデーションが入ったご飯茶碗だ。同じ棚にはひと回り大きいブルーのものも置かれている。
「ん? 美緒はこの柄はすきじゃない?」
「いえ……すきか嫌いかで言えばとてもすきな部類に入ります。――が、そうではなくて」
「そうか、よかった。うちには茶碗というものがないから不便だろう? ちょうどいいから一緒に自分の分も買おうかなと思ってね」
予感的中だ。ちらりと値段を見たらゼロが一個多くて思わず変な声が出そうになった。すんでのところでそれをこらえて彼をまじまじと見る。冗談を言っている様子はない。このままでは想定外の出費になってしまうと焦った。



