拝啓、前世の恋人へ。恋知らずな君を千年分の愛で離さない

 もともとクリーニング代は払う予定だったもの……。

 あらかじめ封筒に入れておいたクリーニング代を取り出そうと、バッグの中に手を入れたそのとき。

「美緒」

 深みのある低い声に、弾かれたように振り返った。

「あ……っ」

 日本人離れした長身に、ピタリと合った仕立てのよい三つ揃えスーツを当然のごとく着こなした東雲さんが立っていた。

 どうしてここに⁉

 そう思った瞬間、彼がにこりと微笑んだ。

「迎えにきたよ。一緒に帰ろう」
「え?」

 想定外の答えにぽかんとしたら、彼が困ったように眉を下げる。

「メッセージ。見なかった?」
「あ……」

 慌ててバッグの中に手を入れてスマホを取り出す。手帳型のカバーをめくると、彼のアイコンで通知が見えた。
 まさか東雲さんの方からメッセージをくれていたなんて。まったく想定していなかった。