拝啓、前世の恋人へ。恋知らずな君を千年分の愛で離さない

 だれか別の人と勘違いしているのでは? 

「ただの地味女のくせして、あいりから彼を奪おうなんずうずうしいのよ!」

 前半はその通りなので言い返す気はないが、後半は明らかに彼女の思い込みだ。事実と違うことはきちんと訂正しておかないと、後々面倒なことになると学んだばかりだ。

「たとえ千年たっても長澤さんとどうこうなるなんてありえません」

 突然久保田さんが目を怒らせた。

「はあ……⁉ なにそれ! 彼に魅了がないってこと⁉」

 しまった……言い方を間違えてしまった。

 思っていることが顔には出ないくせに、口からはぽろっと出てしまうことがある。よくないとわかっているけれど、悪い癖ほどなかなか直らない。

 とにかく早く訂正しないと。

 彼女の声がどんどん大きくなっているせいか、周囲の人がこちらをちらりと見ながら通り過ぎていく。今後のためにも変に注目されるのは避けたい。

「いえ、そういうわけではなく、私が――」
「言い訳はいいの! 新参者のくせに彼に近づかないで!」