拝啓、前世の恋人へ。恋知らずな君を千年分の愛で離さない

 正直もう長澤さんとは関わりたくない。彼の本性を見抜けなかった自分の浅はかさも悔やまれるばかりだ。

 けれど、汚してしまったスラックスのクリーニング代を払わないといけないし、私が無意識に誤解を与えるような態度を取っていたのなら、そのこともきちんと謝らないといけない。

 すべてにきっちり方をつけて、今後彼とは仕事以外で関わらないようにしたい。

 気は重いけれど、明日あたり連絡を取ってみよう。そんなことを考えているうちに、一階までたどり着いた。

 これからまたあの場所に帰るのよ……ね。

 東雲さんの家は、豪華――を通り越してまるで別世界のようだ。

 いったい、いつまであそこに置いてもらえるのだろう。最初は混乱していて具体的なことはなにも考えられなかったけれど、落ち着くに従って、早く新しいアパートを見つけて、彼のマンションから出て行った方がいいと思い始めた。

 帰ったらさっそく探してみようかな……。

 その前に大型スーパーに寄ってから帰ろう。

 東雲さんからは、家にあるものはなんでも使っていいと言われているものの、せめてマグカップとお箸くらいは自分だけのものを用意しよう。自宅から持ってくればよかったと思ったけれど、今さらそんなことを言っても仕方がない。

 そんなことを考えながら歩いていたとき、後ろから甲高い声がした。