拝啓、前世の恋人へ。恋知らずな君を千年分の愛で離さない

 私が勤める株式会社フォーミーは、コンビニで販売しているサンドイッチやデザートなどの商品を開発製造する企業だ。

 商品を取り扱うのがコンビニという身近な場所のため、自社製品を購入するところを見かけることも少なくない。それを目にするたび、開発にも製造にも関わらない一総務部員の私も、誇らしく思えてくる。だから商品を作っている彼らが少しでも働きやすい環境になるようサポートしていけたら――そう思いながら、日々業務に勤しんでいる。

 いったん業務に入ればあれこれ考えている暇はない。始業開始と同時に鳴り響く内線外線をさばきつつ、社内メール作成や備品の発注などをこなしていく。業務は多岐にわたり、時には開発部から回ってきた企画書の英訳下書きをすることもある。

 事務処理などの固定の仕事と並行して、次々と舞い込んでくる業務をできるだけ効率よく遂行できるよう、体だけでなく頭もフル回転させながら仕事を片づけていく。そうしているうちに時間が飛ぶように過ぎていった。

 気づけば定時を迎えていた。
 オフィスを出て階段を下りながら、ほっと息をついた。

 今日は長澤さんと遭遇せずに済んでよかった。あんなことがあった直後のため、顔を合わせるのはやっぱり気まずいと思っていたのだ。

 秘書課は役員フロアにデスクがあるため、普段から頻繁に顔を合わせるわけではない。けれどなにかとサポート業務を頼まれたりするため、行き来することも多々ある長澤さんは、今日は松井常務の同行で一日外出のようだ。