「今の美緒の気持ちを聞かせてほしい」
「え……」
「美緒は僕のことをどう思っている?」
思わず息をのんだ。彼はきっと、私がさっき言おうとしたことをわかっている。その上で、なかなか言い出せない私の背中を押そうとしているのだ。
ここまでお膳立てされて、言わないなんてできるわけがない。
膝の上の両手をぎゅっと握りしめ、背筋を伸ばして顔を上げた。再び彼と目が合って、心臓がどくんと波打ったが、構わず息を吸い込んだ。ためらう前に口を開く。
「智景さんのことがすきです」
彼の目が大きく見開かれた。眉根を寄せて瞳を揺らした彼は、喜びとも悲しみともつかない顔をする。そしてその表情を隠すように目を閉じた。
「あの……」
私、なにか間違ったことを言ってしまったの?
もしかして私は、彼の気持ちを勘違いしていたのかもしれない。だとしたら、とても恥ずかしい。
羞恥と不安で涙がにじんだとき、彼がすっと体を座卓の方へ向けた。彼の手が座卓の上に伸びる。その先には、さっき万由美さんが使っていた硯箱があった。
「え……」
「美緒は僕のことをどう思っている?」
思わず息をのんだ。彼はきっと、私がさっき言おうとしたことをわかっている。その上で、なかなか言い出せない私の背中を押そうとしているのだ。
ここまでお膳立てされて、言わないなんてできるわけがない。
膝の上の両手をぎゅっと握りしめ、背筋を伸ばして顔を上げた。再び彼と目が合って、心臓がどくんと波打ったが、構わず息を吸い込んだ。ためらう前に口を開く。
「智景さんのことがすきです」
彼の目が大きく見開かれた。眉根を寄せて瞳を揺らした彼は、喜びとも悲しみともつかない顔をする。そしてその表情を隠すように目を閉じた。
「あの……」
私、なにか間違ったことを言ってしまったの?
もしかして私は、彼の気持ちを勘違いしていたのかもしれない。だとしたら、とても恥ずかしい。
羞恥と不安で涙がにじんだとき、彼がすっと体を座卓の方へ向けた。彼の手が座卓の上に伸びる。その先には、さっき万由美さんが使っていた硯箱があった。



