拝啓、前世の恋人へ。恋知らずな君を千年分の愛で離さない

「わ、私は別に……」
「でもその苦労がわかりすぎるほどわかるからこそ、あえて厳しいことを言う。それも愛情だということもわかっていますよ」

 目を泳がせて言いよどんだ万由美さんに、先生がふふふと微笑む。

「智景さんのことも、心から大事に思っているのは知っていますが、智景さんももういい年の大人です。母親のあなたがあれこれ気を揉まずとも、自分でなんとかするでしょう」
「ですがお義母様――」
「分家や派閥に負けるようならそれまでのこと。東雲のトップに立つ度量がなかっただけです。それが嫌なら本人がなんとかするしかありません。ねえ、智景さん」
「おっしゃる通りです」

 にこりと微笑んで先生に返事をした後、智景さんは万由美さんに向き直った。

「いい年をして色々とご心配をおかけしてすみません、母さん。でも僕にとって一番大事なことは、美緒を幸せにすることです」

 堂々とそう言い切った智景さんに、万由美さんが口を開こうとする。けれどそれを遮るように彼は続けた。

「――が、真面目な彼女は、もし僕が東雲から追い出されるようなことがあれば自分を責めるでしょう。そうならないよう鋭意努力いたしますよ」