拝啓、前世の恋人へ。恋知らずな君を千年分の愛で離さない

「お義母様までぐるだったなんて……」

 万由美さんが震える声で言った。

 もしかしたら彼女は私達三人が共謀していると勘違いしているのかもしれない。私はともかくとして、智景さんや光子先生との関係がこじれてしまいそうではらはらしていると、ずっと入り口のあたりに立っていた先生が、静かにこちらへやってきた。流れるような所作で腰を下ろす。背筋が真っすぐ伸びているのに、余計な力はどこにも入っていない美しい正座だ。先生はじっと万由美さんを見つめ、静かに口を開いた。

「万由美さん。あなたって本当に不器用な方ね」
「な、なにを……」

 虚をつかれたのか動揺をあらわにした万由美さんに、先生はさらに思わぬことを言う。

「いいじゃない、素直に美緒さんの味方になってさしあげたら。あなたが一番彼女の理解者になれるはずでしょう? 彼女と同じように一般のご家庭から嫁いでいらっしゃったのですから」
「え!」

 思わず声を出してしまい、慌てて手で口を覆う。万由美さんのことは、優美な所作や佇まいから、生粋のお嬢様なのだとばかり思っていた。