拝啓、前世の恋人へ。恋知らずな君を千年分の愛で離さない

 声も出せないほど驚く私の後ろから、さらに驚きのつぶやきが耳に届く。

「お義母(かあ)様」

 え……! どういうこと? 万由美さんが『お義母様』と呼ぶということは、まさか……。

「おばあさん、色々とありがとうございました」

 智景さんの言葉に再び目を見張った。『やっぱり!』という気持ちと『嘘でしょう⁉』という驚きが同時に湧きおこる。

 戸惑う私に智景さんは、光子先生が私の窮状を教えてくれたのだと言った。
 視察先での仕事が予定よりも早く進んでいた彼は、さらに前倒しですべてを片づけ、その足で飛行機に飛び乗ったそうだ。

「じゃあ、智景さんが私を以前から知っているふうだったのって……」
「きみが祖母の書道教室に通っているところなら、何度か見たことがある」
「そう……だったんですね……」

 光子先生から私の話を聞いていたため、会う前から私のことを知っていたのだろう。
 今までのことが腑に落ちる。と同時に、そのことを残念に思っている自分に驚かされた。

 私、いつの間にか、彼が千年前のあの人ならいいと思っていたんだわ……。

 自分勝手な願望に気づいて恥ずかしくなり、黙って視線を畳に落とす。