拝啓、前世の恋人へ。恋知らずな君を千年分の愛で離さない

 智景さんは呆然とする長澤さんから私の方へ向いた。目が合って胸がどきっとする。彼は私のところまでやってくると、片手を私の肩に回し、ぐいっと自分の方へ引き寄せた。

「ひゃっ」
「悪いけど彼女は連れていくよ。これから一緒に実家へ挨拶に行く予定でね」

 ええ……!

 思わず声を上げそうになったけれど、ぎりぎりのところでなんとかのみ込んだ。三人を牽制するための嘘に違いない。ひとまずこの場は彼に預けることにする。

「用がなければ失礼する」

 智景さんのさりげないエスコートで、常務たちに背を向ける。入口へ向かって歩き出した。

 「待って!」

 後ろから聞こえた甲高い声に足が止まった。

「その女はあなたにふさわしくありません!」

 背中から浴びせられた言葉に、心臓がどくんと波打つ。ゆっくりと振り返った智景さんは、彼女に「なぜ」と尋ねた。

「この女はこの部屋から勝手に機密ファイルを持ち出そうとしたの。誰かに頼まれただの鍵は開いていただのって嘘ばっかり! そんな証拠どこにもないじゃない」