拝啓、前世の恋人へ。恋知らずな君を千年分の愛で離さない

「じゃあその相手はだれなんだ」
「それは……わかりません」

 それがわかったら苦労はしない。わからないから犯人に仕立て上げられようとしているのだ。
 犯人を見つけるのは容易ではないけれど、どうにか私がスパイではないこということだけでもわかってもらわなければと、再度説明しようと口を開きかけたところで、横から長澤さんが口を挟んできた。

「今日秘書課のひとりひとりに内線のことを確認しましたが、直接かけた者も、だれかに頼んだ者もいませんでした」
「もしわざと私を陥れようとする人がいるとするなら『自分がやった』なんて言うはずありません」

 私が反論すると思わなかったのか、長澤さんがきつく眉根を寄せた。ここで負けてはいけないと、彼から目を逸らすことなく見つめ返す。

 すると突然「あ!」と久保田さんが声を上げた。

「もしかして貴司さんに振られたから、その腹いせで大事なファイルを隠そうとしたとか?」
「なっ……」

 振られた覚えもないし、腹いせでそんなことをしたりしない。あまりにひどい言いがかりに、怒りのあまり声を出せない。