拝啓、前世の恋人へ。恋知らずな君を千年分の愛で離さない

「きっと彼も美緒ちゃんのことを大事に思っているのね。でないと、こんなにも美緒ちゃんにぴったりの香りを作ったりできないもの」
「私を想って……」
「そんなふうに想っている相手が、突然自分の前から姿を消したら、彼は傷つかないかしら」

 はっとした。私がしようとしていたのは、千年前のあの人と同じことなのだ。
 私は自分があんなにも悲しみ苦しんでいたというのに、今度は自分が同じことをしようとしていたなんて――。

 今はもう、彼が私に向ける気持ちを冗談や遊びだとは思ってはない。私は恋をすることが怖くて、彼の気持ちから目を背けていたのだ。

 私、だめね。
 千年前の恋に捕らわれて、今を見ようとはしなかった。私に必要なのは、きっと『彼の隣にいる覚悟』だ。

「光子先生、ありがとうございます」

 顔を上げて真っすぐに先生を見つめると、彼女はにこりと微笑んだ。

「もう大丈夫そうね」
「はい!」

 今の自分ができることを全部やり尽くそう。それでだめなら、彼にきちんと事情を打ち明ける。結果どうなろうとも、すべてを受け入れる覚悟を持つのだ。

 もう二度と後悔を来世に持ち越したりはしないと、固く心に誓った。