拝啓、前世の恋人へ。恋知らずな君を千年分の愛で離さない

 ひとしきり涙を流して落ち着いた頃、先生が自販機でホットココア買って来てくれた。

「あり…がとうございます……」

 鼻をすすって差し出されたホットココアの両手を受け取る。熱いくらいの缶に指先がじんと痺れ、手が冷えきっていたことに気がついた。

 光子先生とベンチに並んで座り、ホットココアを飲みながら帰り際の出来事を話した。

「じゃあ美緒ちゃんは、居候先の彼に迷惑をかけたくなくて、仕事を辞めて実家に帰ろうと思っているの?」
「はい……一緒にいたら彼の立場が悪くなってしまうので……」

 智景さんのことは、名前を出さずに『社会的立場のある人』と説明する。

「それは、彼がそう言ったの?」
「いえ……」
「じゃあ他の誰かに言われた、とか」

 鋭い切込みにたじろいだら、さらに「誰から?」と追及される。

「彼の……お母様から……」

 私が答えると、先生は眉根を寄せて黙り込んだ。