拝啓、前世の恋人へ。恋知らずな君を千年分の愛で離さない

 続いて案内された二階の客室でも、あまりの豪華さに圧倒された。
 リビングにある大きな窓ガラスの向こうは、一面冬の嵐山だ。すぐ下には大堰川(おおいがわ)も流れている。
 ロビーと同じように和洋折衷のレトロな雰囲気ではあるが、客室の方はモダンな雰囲気も取り入れて改装してあるようだ。
 
 スイートルームということには驚いたけれど、ベッドルームがふたつあると聞いて正直ほっとする。

 案内してくれた女将がウェルカムドリンクを持ってくると出ていき、部屋にふたりきりになった。

「泊まりがけだなんて言っていませんでしたよね」

 待ってましたとばかりに詰め寄った私に、彼は余裕の表情を崩さない。

「そうだね。家を出たときはまだどうなるか決まっていなかったから」

 どういうこと? と首をひねる。

「試しに連絡を取ってみたら、いいよと言われてね」
「いいよって……」

 そんなに気安く予約が取れるようなものなの? 女将との会話から、一見客ではないことはわかっているけれど……。

「でも私、泊まる準備なんてなにも――」
「大丈夫。宿泊に必要なものは全部そろえてある。気になるなら奥のベッドルームを見てきたらいい」

 半信半疑でベッドルームへ行くと、洋服や下着の着替えまで、すべて新しいものが用意されていた。