拝啓、前世の恋人へ。恋知らずな君を千年分の愛で離さない

「美緒、着いたよ」
「あ、はい」

 思考に沈んでいたせいで、いつの間にか車が止まっていたことに気づかなかった。

 智景さんのエスコートで車から降りた瞬間、思わず「え!」と声が飛び出る。歴史を感じさせる瓦葺の門が、目の前に立っていた。どう見ても京都駅ではない。

「あの、智景さん、これは……」
「雪が降り出したな。道理で寒いはずだ。冷える前に早く中へ入ろう」

 舞い降りてくる雪からかばうように肩を抱かれて、門をくぐった。
 御影石のアプローチを進んだ先には、明治時代を思わせる和洋折衷のレトロな建物があった。入り口には着物姿の年配女性が立っている。

「いらっしゃいませ、東雲様。お待ちいたしておりました」
「女将、お久しぶりです。急な連絡でしたのに、わざわざお出迎えありがとうございます」
「こちらこそ、お越しくださり光栄でございます。香月(かつき)が海外視察中でご挨拶できずに申し訳ないと申しておりました。ご満足いただけるよう、わたくしどもで精いっぱいおもてなしするよう言いつかっております」
「ありがとうございます。今日明日、お世話になりますね」