えぇぇ…。
そんなことを言われても、いきなりは抵抗があるなぁ…。
「うーん…それじゃあ、2人も私のことは夕華と呼んでください。そしたら、私もため口でしゃべる努力をします!」
「…かしこまりました」
「あははっ、夕華さまっておもしろい。分かったよ」
「え、“さま”もいらないんだけど…」
「これが僕の敬意の表し方だから、分かって?“さま”をつけないなら敬語でしゃべるよ」
「わ、分かった!夕華さまでいいです!」
もっとひどい条件が出てきて、慌ててうなずくと、心くんは「あははっ」と軽やかに笑った。
急な態度の変化はよく分からなかったけど、2人との距離が縮んだと思えば、いい道中だったな。
数十分歩いて、テーマパークの奥のお城に着いたとき、私はそんなことを思って、ほおを緩めたのだった。



