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「あんたがアタシの新しいパートナー?」
指揮官室に入ってきた少年を見て、女性は読んでいた本に栞を挟み、机に置いた。
「はい。そうです」
「その歳で指揮官か、凄いね」
少年の年齢は知らないが、まだあどけなさの残る風貌からしてまだまだ若いだろうと推定した女性は、感心して褒めた。
まるで指揮官になり始めの頃の自分と、過去にパートナーとして指揮官をやっていたあの裏切り者の男のようだ。
「チャロ指揮官だって、1回指揮官やめさせられたのにまた昇格した凄腕だって聞きましたよ」
そう言って隣の机に荷物を置く少年は、爽やかな笑顔を見せる。
女性は少年のプロフィールを確認するのを忘れていたが、噂だけは耳にしたことがあった。
「クリミナルズにいたんだって?あのラスティ君に拾われたとか何とか」
信じられないという風な目でじろじろ見てくる女性に、少年は苦笑した。
「当時ぼくは幼かったんで。あの人意外と子供には弱いんですよ?それ以外には容赦無いですけど。昔の自分や妹を思い出すらしいです」
「へぇ…あの鬼畜にも人の心があるんだね」
「まぁ、1回殺されたようなもんですけどね。僅かに急所を外してすぐリバディーの本拠地の治療室に連れていってくれたんです」
そこで女性は少年の当時の立場に関して疑問を抱く。
「リバディー側に殺されるような状況に陥ったってことは…余程酷い犯罪をしたとか?」
そんな前科者がリバディーにいるはずがないと分かってはいるが、否定される前提で質問をした。
「裏切られたんです、当時の仲間に」
その優しげな目からは感じられない暗い過去を抱えているらしい少年は、穏やかな口調で言った。
女性は触れてはならない部分に触れたような気がしたが、ここで沈黙しては重い空気になると思い話を広げようとした。
「じゃあ恨んでるんだ、その人のこと」
「まさか。全ての過去が現在に繋がります。今があるのは、過去に関わった全ての人達のおかげだって、ぼくは思ってますから」
女性は驚いて黙り込む。
自分があの男に裏切られた時は、こうは思えなかった、と。
少年の前向きな考え方に底の知れない強さを感じ、初めて少年とパートナーとして仕事をすることを楽しみに思った。
「名前、何だっけ?」
女性はあたかも1度はプロフィールに目を通した風に質問をする。
「―――れんです、よろしくお願いします」
少年は改めて自分の名前を伝え、人懐っこく笑った。
マイナスの矛盾定義
【完全完結】



