マイナスの矛盾定義

「彼女が指名手配されているのは不老不死の研究材料だからですし、彼女がそんなものになってしまったのは国の進める研究のせいです。そのうえ彼女が犯罪組織にいるのは、指名手配されたが故にそういう組織にしか逃げることができなかったためです。彼女に非はないと思いませんか?」



ブラッドさんの言葉に、電話の向こうのエリックさんは少し沈黙した後、


『アリス、お前は何の役に立つ?』


今度は私に質問してきた。



『当然のことだが、組織のトップとして無償で動くことはできない。それ相応の労働力であり、組織の役に立つ存在でなければ助けることはできない』


「……戦闘力ならそこそこあるわ」


『いらないな。戦闘員ならいくらでもいる。他にできることは?』



他にできること………。


私が今までしてきたことと言えばスパイ活動だけど、リバディーのためにスパイとして働きながら研究を廃止に追い込むなんてできっこない。


自分の目的のために動きながら、同時にリバディーのためにできることじゃないと……。



となると。


「…通訳が、できるかもしれない」


『ほう』


「語学の勉強をしているの。少なくともその辺の人よりは多くの言語を話せるわ」



役に立つかは分からないけど、国際的に活躍しているリバディーにとって通訳者は全くいらない存在ではないだろう。