マイナスの矛盾定義

大人数で襲ってこないとも限らない。


その点陽がいれば安心だ。俺が2人いるようなもんなのだから。



席に座ろうとした時、不意に如月が言う。


「あなた…本当にシャロンさん……?」



そんなに俺が来ないと思ってたなら最初から呼ばないでよねぇ。



「そうだけどぉ?」


「…最近人を殺した…?」



その言葉に一瞬動きを止めてしまったが、すぐに座って返答した。



「さぁ?殺してないはずだけど」


「そう…人殺しの顔をしてたから、てっきりそうかなって思ったんだけど…」



如月が珍しく馬鹿げたことを言ってくるもんだから、何を今更と笑ってしまった。



「俺が人殺しなのは元からでしょ?」


「…同じ人殺しでも……以前と顔つきが違う……“普通の犯罪者”みたい」


「へー。俺そんな顔してんの?普通の犯罪者みたいな顔?」


普通って何かわかんないけど。



「殺しを悪いことだと思ってるみたいな顔……」



如月の言葉にはっとさせられた。


行動の変化に気付いた人間はいても、俺の心の変化に気付いたのは如月が初めてだった。