サアアアアっという大きな波が押し寄せた。足元がおぼつかなくなり、きゃっと小さな悲鳴を上げる。よろめいた私を身体を受け止めるように、後ろから日向さんが私の腕を支えてくれていた。
「大丈夫?」
「すみません。ありがとうございます」
「いや、こけなくて良かった。勝手に触ってごめん」
不意に触れていた温かい手のひらの感触がなくなった。私は思わず「離さないで」と訴えていた。
「あ、いや、その……また、転びそうで、怖くて」
「そう。じゃあ、手を繋いで行こう」
「……はい」
彼がごく自然に、今度は右手のひらを握ってくれた。自然に、横並びになる私たち。右側を歩く彼の横顔の奥に夕陽がきらめいて、彼の顔の輪郭は黄金色に縁取られる。
「私、好きなのかも、しれないです」
いちばん風が強い瞬間に、口から漏れ出た言葉に、日向さんがぴくりと反応する。
「……仕事、意外と好きなのかもって、思って。もちろんヴァイオリンを仕事にしたいっていう気持ちは変わらないんですけど、でも家業の方も、やってみてもいいかなって思えてきて」
「大丈夫?」
「すみません。ありがとうございます」
「いや、こけなくて良かった。勝手に触ってごめん」
不意に触れていた温かい手のひらの感触がなくなった。私は思わず「離さないで」と訴えていた。
「あ、いや、その……また、転びそうで、怖くて」
「そう。じゃあ、手を繋いで行こう」
「……はい」
彼がごく自然に、今度は右手のひらを握ってくれた。自然に、横並びになる私たち。右側を歩く彼の横顔の奥に夕陽がきらめいて、彼の顔の輪郭は黄金色に縁取られる。
「私、好きなのかも、しれないです」
いちばん風が強い瞬間に、口から漏れ出た言葉に、日向さんがぴくりと反応する。
「……仕事、意外と好きなのかもって、思って。もちろんヴァイオリンを仕事にしたいっていう気持ちは変わらないんですけど、でも家業の方も、やってみてもいいかなって思えてきて」



