「彼女がいたら美由ちゃんとデートしてないって」
「そうですよねー……」
返事を聞けてほっとする。と同時に、もし彼に彼女がいたら、子供の私なんて相手にされないんだろうなと思うと、波のような虚しさが押し寄せた。
「ねえ、あっちまで歩かない? 波打ち際を歩くのって、なんか“青春”っぽくていいじゃん」
“青春”のところをやたら強調してくりりとした純なまなざしで見つめてくる日向さん。私は無意識のうちに「はい」と頷いていた。
水に濡れて柔らかくなった砂の上を、彼と前後になって進む。波が行ったり来たりして、足の甲が包み込まれる瞬間が好きだ。大きなものに守られているけれど、やっぱり自分の足で歩きなさい——そんなふうに言われている気がして、胸がきゅっと締め付けられた。
「日向さんは、どうでしたか? 今日の即売会。楽しかったですか」
後ろを歩いているはずの彼に振り返らずに問いかける。
「ああ、もちろん。何度か参加したことあったけれど、今まででいちばん楽しかったよ。美由ちゃんは?」
「私も……楽しかったです。初めて仕事をして、こんなに楽しいと思えるなんて、思ってもいませんでした。お母さんやお姉ちゃんたちに、仕事を継ぐのが嫌だって言うのも、ちょっといったんどうするか考えようって思ってます」
「そうですよねー……」
返事を聞けてほっとする。と同時に、もし彼に彼女がいたら、子供の私なんて相手にされないんだろうなと思うと、波のような虚しさが押し寄せた。
「ねえ、あっちまで歩かない? 波打ち際を歩くのって、なんか“青春”っぽくていいじゃん」
“青春”のところをやたら強調してくりりとした純なまなざしで見つめてくる日向さん。私は無意識のうちに「はい」と頷いていた。
水に濡れて柔らかくなった砂の上を、彼と前後になって進む。波が行ったり来たりして、足の甲が包み込まれる瞬間が好きだ。大きなものに守られているけれど、やっぱり自分の足で歩きなさい——そんなふうに言われている気がして、胸がきゅっと締め付けられた。
「日向さんは、どうでしたか? 今日の即売会。楽しかったですか」
後ろを歩いているはずの彼に振り返らずに問いかける。
「ああ、もちろん。何度か参加したことあったけれど、今まででいちばん楽しかったよ。美由ちゃんは?」
「私も……楽しかったです。初めて仕事をして、こんなに楽しいと思えるなんて、思ってもいませんでした。お母さんやお姉ちゃんたちに、仕事を継ぐのが嫌だって言うのも、ちょっといったんどうするか考えようって思ってます」



