「あー疲れた! すごい、完売ですよ!」
午後五時、即売会が無事に終了し、ブースの片付けをしながら大きく伸びをした。
「いやー、本当にお疲れ様。完売したのは美由ちゃんのおかげだよ。ありがとう」
恭しく頭を下げてきた日向さんに対し、私は「そんなことないです!」とブンブン首を横に振った。
「そんなことあるよ。僕一人だったら絶対に完売なんて無理だった。特に最後は初めましてのお客さんばかりだったでしょ? そんな人たちに、美由ちゃんが元気に声をかけてくれたから振り向いてもらえたんだ」
「そう、なのかな。そうだったら、嬉しいです」
きっと日向さん一人でも、彼の魅力的な漫画ならば全部売れていたんだろうけれど、私に労いの言葉をかけて、私の努力を認めてくれる彼の優しさが嬉しかった。
「あのさ、良かったらまた改めてお礼をさせてもらえない?」
「お礼? そんなの大丈夫ですよ。お代はいただいてますし」
漫画制作に関する代金ならば、すでに領収済みだ。今回の即売会に関しも、売上から少し分前をいただくことになっている。分前に関しては遠慮したのだが、彼が強引に「そうさせてほしい」と主張したのだ。
「いや、これは僕の気持ちの問題というか。ここまで付き合ってくれたことへのお礼。ねえ、何がいい?」
つぶらの瞳に見つめられ、私は「えっと」と口籠る。
突然「お礼は何がいい?」と聞かれても、ぱっとは思いつかないな——。
どうしようか迷っていたところで、ふとテーブルの上に置きっぱなしだった彼のサンプル漫画が目に飛び込んできた。もう何度も目にした表紙。そこに描かれた恋するヒロインの顔を見て、私の中で何かが弾けた。
「あの、それなら私——」
小さな声で要望を伝えると、日向さんは目を何度か瞬かせた。その後、すっと笑顔になり、「いいよ」と淡く微笑んで。
私も漫画のヒロインみたいに、きっと頬が赤く染まっている。
午後五時、即売会が無事に終了し、ブースの片付けをしながら大きく伸びをした。
「いやー、本当にお疲れ様。完売したのは美由ちゃんのおかげだよ。ありがとう」
恭しく頭を下げてきた日向さんに対し、私は「そんなことないです!」とブンブン首を横に振った。
「そんなことあるよ。僕一人だったら絶対に完売なんて無理だった。特に最後は初めましてのお客さんばかりだったでしょ? そんな人たちに、美由ちゃんが元気に声をかけてくれたから振り向いてもらえたんだ」
「そう、なのかな。そうだったら、嬉しいです」
きっと日向さん一人でも、彼の魅力的な漫画ならば全部売れていたんだろうけれど、私に労いの言葉をかけて、私の努力を認めてくれる彼の優しさが嬉しかった。
「あのさ、良かったらまた改めてお礼をさせてもらえない?」
「お礼? そんなの大丈夫ですよ。お代はいただいてますし」
漫画制作に関する代金ならば、すでに領収済みだ。今回の即売会に関しも、売上から少し分前をいただくことになっている。分前に関しては遠慮したのだが、彼が強引に「そうさせてほしい」と主張したのだ。
「いや、これは僕の気持ちの問題というか。ここまで付き合ってくれたことへのお礼。ねえ、何がいい?」
つぶらの瞳に見つめられ、私は「えっと」と口籠る。
突然「お礼は何がいい?」と聞かれても、ぱっとは思いつかないな——。
どうしようか迷っていたところで、ふとテーブルの上に置きっぱなしだった彼のサンプル漫画が目に飛び込んできた。もう何度も目にした表紙。そこに描かれた恋するヒロインの顔を見て、私の中で何かが弾けた。
「あの、それなら私——」
小さな声で要望を伝えると、日向さんは目を何度か瞬かせた。その後、すっと笑顔になり、「いいよ」と淡く微笑んで。
私も漫画のヒロインみたいに、きっと頬が赤く染まっている。



