二人三脚〜君と初仕事

「大したことじゃないよ。モデルの方は小遣い稼ぎ。本当にやりたいのは漫画だから」

「いやいや……大したことですよ。本当に、すごいです」

 きちんと夢を持っていて、夢以外でも頑張れることがあって。
 私も、彼のように格好良い大人になりたい。
 容姿や性格は敵わないけれど、私にだって頑張りたいと思うことはある。

「いらっしゃいませ! 日向琉人の書き下ろし作品、いかがですか!」

 声を張り上げて通り過ぎようとするお客さんにサンプル漫画を差し出すと、日向さんが隣で大きく息を呑む気配がした。
 そうだ。私だって負けてられない。今は日向琉人の助っ人として、最大限の働きを見せるんだ。
 義務をこなさなければ、好きなことは満足にできない。
 そんなふうに語っていた日向さんの真剣な表情を思い出して、胸がきゅっと鳴った。
 やっぱり私は、彼のことが好きだ。
 この気持ちはきっと伝えられないけれど、今は全力で日向さんのサポートがしたい。彼が、二人三脚だと言ってくれた仕事を最後まで成し遂げたい。その一心で、漫画を売り続けた。