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その日から、私の日常は大きく色を変えた。
お母さんから本の制作についての説明を受けると、早速学校帰りに日向さんに相談しにいった。制作をしている期間、『ひまわり』は日向さんのおじいちゃんである店主が店番をしてくれるそうだ。その間、「お悩み相談」が閉鎖するので、期待してやってきた女性客はがっくりと肩を落として帰って行った。でもそのとき、日向さんがお詫びにと、有名デザイナーが監修したメモ帳を渡していて、彼女たちは満足して帰って行った。
私が、「いいんですか、そんなふうに商品をタダで渡して」と聞くと、日向さんは「せっっかくお店を見つけてくれて繋がったお客さんは、何よりも大事にしないといけないんだよ。彼女たちがいなければ、僕は好きなことも思い切りできないから」と誠実な声で言った。彼の言う「好きなこと」とは漫画を描くことだろう。
家業でお金を稼げなければ、好きなことを満足にできない。
ヴァイオリニストになりたいと思いつつ、家業を継ぎたくないという気持ちに悩んでいた私の胸に、深く突き刺さった。
日向さんと、私の家の仕事場で打ち合わせを行う。日向さんは制作する予定の漫画の原作を、私に見せてくれた。表紙デザインから中身まで、すべて日向さんが作ったそうだ。
「すごく、上手……」
「そう? ありがとう。素直に嬉しいよ」
彼の漫画をばーっと流し読みする。繊細なタッチで描かれた人物。トーン素材を使っても良さそうな背景の細部まで、こだわりのある絵で表現していた。
内容は、SF要素のある学園ドラマだ。若者受けしそうな内容で、実際私もいつのまにか物語に没頭していた。自分が作業場にいることさえ、忘れてしまうくらいに。
その日から、私の日常は大きく色を変えた。
お母さんから本の制作についての説明を受けると、早速学校帰りに日向さんに相談しにいった。制作をしている期間、『ひまわり』は日向さんのおじいちゃんである店主が店番をしてくれるそうだ。その間、「お悩み相談」が閉鎖するので、期待してやってきた女性客はがっくりと肩を落として帰って行った。でもそのとき、日向さんがお詫びにと、有名デザイナーが監修したメモ帳を渡していて、彼女たちは満足して帰って行った。
私が、「いいんですか、そんなふうに商品をタダで渡して」と聞くと、日向さんは「せっっかくお店を見つけてくれて繋がったお客さんは、何よりも大事にしないといけないんだよ。彼女たちがいなければ、僕は好きなことも思い切りできないから」と誠実な声で言った。彼の言う「好きなこと」とは漫画を描くことだろう。
家業でお金を稼げなければ、好きなことを満足にできない。
ヴァイオリニストになりたいと思いつつ、家業を継ぎたくないという気持ちに悩んでいた私の胸に、深く突き刺さった。
日向さんと、私の家の仕事場で打ち合わせを行う。日向さんは制作する予定の漫画の原作を、私に見せてくれた。表紙デザインから中身まで、すべて日向さんが作ったそうだ。
「すごく、上手……」
「そう? ありがとう。素直に嬉しいよ」
彼の漫画をばーっと流し読みする。繊細なタッチで描かれた人物。トーン素材を使っても良さそうな背景の細部まで、こだわりのある絵で表現していた。
内容は、SF要素のある学園ドラマだ。若者受けしそうな内容で、実際私もいつのまにか物語に没頭していた。自分が作業場にいることさえ、忘れてしまうくらいに。



