彼が毒づいてやっと、女は弾かれたようにボトルから琥珀色の液体を杯に注ぐ。かちかちと瓶がゴブレットの縁に当たる音が耳障りで苛立つ。見たことのない酒だ……妙に薬臭い香りが気にはなったが、これが庶民の嗜む酒の程度なのだろうと無視して煽った。今はただ酔って、なにもかもを忘れたい気分だった。
「杯が空いたらとっとと注ぐんだよ! なんのためにそこに突っ立ってやがる!」
「はい、今すぐ……」
二杯、三杯と煽るうちに、やっとほどよい酩酊感が訪れて来る。気が付けば女の表情は妙に白けたものになっていたが、ザドは気にせず、これからしなければならないことに頭を巡らす。
隠しておいた金を使って人を雇い、とりあえずはこの街から離れて商売を始める。底辺の物知らずに口八丁で魔導具を売りつければ、金などいくらでも取り返せるはずだ。そうしたら、あの兄妹を捕えて気の済むまで復讐を楽しみ、爵位も屋敷も金で買い戻して俺を嘲笑ったやつに目に物見せてやろう。そうすれば……自分が正しかったことは、証明される――。
「あ……?」
ごとりと、杯がテーブルの上に転がる。酒が零れて広がり足元を濡らすが、彼はそれを避けようともしない。
「杯が空いたらとっとと注ぐんだよ! なんのためにそこに突っ立ってやがる!」
「はい、今すぐ……」
二杯、三杯と煽るうちに、やっとほどよい酩酊感が訪れて来る。気が付けば女の表情は妙に白けたものになっていたが、ザドは気にせず、これからしなければならないことに頭を巡らす。
隠しておいた金を使って人を雇い、とりあえずはこの街から離れて商売を始める。底辺の物知らずに口八丁で魔導具を売りつければ、金などいくらでも取り返せるはずだ。そうしたら、あの兄妹を捕えて気の済むまで復讐を楽しみ、爵位も屋敷も金で買い戻して俺を嘲笑ったやつに目に物見せてやろう。そうすれば……自分が正しかったことは、証明される――。
「あ……?」
ごとりと、杯がテーブルの上に転がる。酒が零れて広がり足元を濡らすが、彼はそれを避けようともしない。



