(サンジュ……あの女が生まれたから、俺はこんな目に遭ったんだ。あいつだけは殺さなくちゃならねぇ。そのためには、なんだってしてやる。へへへ……俺にはまだ切り札があるんだ)
鈍く痛む体を押さえながら、あくまで自分本位なザドは、サンジュへの復讐を求めてある場所へと赴いた。
「このまま俺が終わると思うなよ……!」
そこは高級娼婦たちの住む宿だった。ザドはなにかあった時のことを考え、周到にもここに住む女のひとりを買収し、魔導具店での売却益から抜き出した隠し財産を管理させていた。それを売却すれば、少なくとも数年は遊んで暮らせるほどの財産が手に入る。
それを元手に、ザドの頭にある魔導具の知識を活用すれば、再起を図ることもできるはず……。
――サンジュもそうしていたのだ。自分にできないはずはない。
ザドは口元に数日振りの笑みを浮かべると、一室のドアを叩いた。
「おい……出ろ! 俺だ、開けてくれ!」
ドンドンとしつこく扉を叩く内に、その女は顔を出した。ザドが最近屋敷で侍らせていた女だ。彼女は怪しい男の姿に目を背けて扉を閉めようとしたが、それがザドと分かると慄き、目を丸くした。
鈍く痛む体を押さえながら、あくまで自分本位なザドは、サンジュへの復讐を求めてある場所へと赴いた。
「このまま俺が終わると思うなよ……!」
そこは高級娼婦たちの住む宿だった。ザドはなにかあった時のことを考え、周到にもここに住む女のひとりを買収し、魔導具店での売却益から抜き出した隠し財産を管理させていた。それを売却すれば、少なくとも数年は遊んで暮らせるほどの財産が手に入る。
それを元手に、ザドの頭にある魔導具の知識を活用すれば、再起を図ることもできるはず……。
――サンジュもそうしていたのだ。自分にできないはずはない。
ザドは口元に数日振りの笑みを浮かべると、一室のドアを叩いた。
「おい……出ろ! 俺だ、開けてくれ!」
ドンドンとしつこく扉を叩く内に、その女は顔を出した。ザドが最近屋敷で侍らせていた女だ。彼女は怪しい男の姿に目を背けて扉を閉めようとしたが、それがザドと分かると慄き、目を丸くした。



