ほっとした顔でディクリド様は微笑んだ。そして信じがたいほど美しく光る指輪が箱から摘ままれ、私の少し曲がった薬指に差し込まれてゆく。
やがて、その婚約指輪は指に収まると、決して失われない輝きを放った。
「……ありがとうございます。綺麗……」
私がそれに魅入っていると……彼の腕が背中から外套を伸ばし、すべてを包み込む“黒”の帳で私の身体を覆ってしまう。もう離さないというかのように……。
「お前のことを、これからももっと知ってゆきたい。願いはどんなものでも叶えよう。サンジュ……お前はどうしたい?」
そう言われても、願うことなど他になにも……。
心を捧げた唯一の人に、私は今包まれているのだから。
「傍に……いてください。私の隣にあなたがいてくれたら、それだけで……」
「それでは俺の気持ちの行き場がなくなってしまう。会うたびにひとつ物が増えるのは覚悟しておけ」
「お返しが大変ですから、ほどほどに……」
やがて、その婚約指輪は指に収まると、決して失われない輝きを放った。
「……ありがとうございます。綺麗……」
私がそれに魅入っていると……彼の腕が背中から外套を伸ばし、すべてを包み込む“黒”の帳で私の身体を覆ってしまう。もう離さないというかのように……。
「お前のことを、これからももっと知ってゆきたい。願いはどんなものでも叶えよう。サンジュ……お前はどうしたい?」
そう言われても、願うことなど他になにも……。
心を捧げた唯一の人に、私は今包まれているのだから。
「傍に……いてください。私の隣にあなたがいてくれたら、それだけで……」
「それでは俺の気持ちの行き場がなくなってしまう。会うたびにひとつ物が増えるのは覚悟しておけ」
「お返しが大変ですから、ほどほどに……」



