物が少なくなっていくリビングを見て、私には時折寂しさが付きまとう。でも、これからの彼女の未来を思えば、それはすぐ頑張ろうという気持ちに変わる。
そして……話から一月もしないうちに、彼女はフィトロさんと共に新しい領地へと旅立って行った――。
その翌日は休みだったけれど、私はいつもと同じように起きると、リラフェンが引き払いがらんどうになったリビングでひとり、朝食を作る。教わった通りに、簡単なサンドイッチを作ったけれど、一口食べて私は首を傾げた。
「なんだか、薄い……? 味付けを間違えたのかな……?」
パンにバターを塗って、野菜やハムなどの食材を包むだけの簡単な料理。それがどうして、彼女が作ってくれたものとこんなにも味が違うのか……。どうにもぼんやりとしたような、そんな味わい。
それを咀嚼しながら、隣に彼女が居た時のことを考えて、深く納得した。
大切な人と一緒に何かをする時、私たちはきっと、ひとりの時よりずっと目の前の出来事に心を傾けている。その意識が、私たちの感じる感覚をより鋭敏にさせ、今起きているものごとを、鮮明に記憶させるのではないか。
そして……話から一月もしないうちに、彼女はフィトロさんと共に新しい領地へと旅立って行った――。
その翌日は休みだったけれど、私はいつもと同じように起きると、リラフェンが引き払いがらんどうになったリビングでひとり、朝食を作る。教わった通りに、簡単なサンドイッチを作ったけれど、一口食べて私は首を傾げた。
「なんだか、薄い……? 味付けを間違えたのかな……?」
パンにバターを塗って、野菜やハムなどの食材を包むだけの簡単な料理。それがどうして、彼女が作ってくれたものとこんなにも味が違うのか……。どうにもぼんやりとしたような、そんな味わい。
それを咀嚼しながら、隣に彼女が居た時のことを考えて、深く納得した。
大切な人と一緒に何かをする時、私たちはきっと、ひとりの時よりずっと目の前の出来事に心を傾けている。その意識が、私たちの感じる感覚をより鋭敏にさせ、今起きているものごとを、鮮明に記憶させるのではないか。



