魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)



 それからはまた忙しくなり、リラフェンと私はルシルさんも交えて今後のことをよく話し合いながら、状況を整理してゆく。

「ほう、リラフェン殿がご結婚とな。それはめでたい……。孫もあれで、おふたりのことを気に入っておりますから、協力は惜しむまい。しばらくそちらのことに集中するように儂からも伝えておきましょう」

 直接鍛冶店に出向いて、少しの間お店に入れる日を増やして欲しいという意向を伝えると、オルジさんは、向こうの都合もあるだろうに私たちの相談を受けてすぐ、ルシルにしばらくこちら専任で働く提案をすることを約束してくれ……。

「結婚退職とはおめでたいじゃない。他ならぬお世話になった先輩さんのことだし、ま、力になるよ。うちに任しといて!」
「あんた、あたしを先輩扱いしてくれたこと無かったじゃない……」

 ……そんなリラフェンの愚痴はともかく。ルシルも頼もしく胸を叩いて請け負ってくれた。

 その後、リラフェンはお店で働きながら、少しずつ自分の荷物を整理していった。