手掛かりは、首に掛けた魔石の首飾りだ。サンジュがくれたこれのみが、今もハーメルシーズ領の方角を目指す手掛かりとなっている。これが道を示してくれるうちは、彼女も無事だと信じて、それを首元から抜き出しては、そちらの方角へ駆けることの繰り返し。
食料はとうに尽き……意識も朦朧としながら時折野生動物や自生した植物などで飢えを凌ぎ、シャルビュ号の背に揺られる日々が延々と続く。
黒馬は頑丈で、戦場で見舞われたいくつかの矢傷も、とうに塞がりかけているが、走り方がややぎこちない。激しい戦と強敵との戦いで、彼にも相当無理を強いている。一度馬を降り、休ませるよう並んで歩いたが、シャルビュ号はそんなディクリドの襟首を食んで鬱陶しそうに首で鞍を差した。気遣いは要らない、乗れ――、そう言っているようで、ディクリドは大人しくその背に跨ってまた移動し始める。
「あの男を仕留められたのも、お前のおかげだ。城に着いたら、盛大に祝い勲章のひとつでも授けてやらんとな」
そう言って首を軽く叩くと、しかしシャルビュ号は不満そうにブルルと鼻を震わせ、カチカチと歯を鳴らす。
そんなものより食い物でも寄越せと言わんばかりのその態度にディクリドは苦笑すると、城の料理人に馬の好物でケーキでも作らせて、浴びるほど食わせてやろうと心に決めた。
食料はとうに尽き……意識も朦朧としながら時折野生動物や自生した植物などで飢えを凌ぎ、シャルビュ号の背に揺られる日々が延々と続く。
黒馬は頑丈で、戦場で見舞われたいくつかの矢傷も、とうに塞がりかけているが、走り方がややぎこちない。激しい戦と強敵との戦いで、彼にも相当無理を強いている。一度馬を降り、休ませるよう並んで歩いたが、シャルビュ号はそんなディクリドの襟首を食んで鬱陶しそうに首で鞍を差した。気遣いは要らない、乗れ――、そう言っているようで、ディクリドは大人しくその背に跨ってまた移動し始める。
「あの男を仕留められたのも、お前のおかげだ。城に着いたら、盛大に祝い勲章のひとつでも授けてやらんとな」
そう言って首を軽く叩くと、しかしシャルビュ号は不満そうにブルルと鼻を震わせ、カチカチと歯を鳴らす。
そんなものより食い物でも寄越せと言わんばかりのその態度にディクリドは苦笑すると、城の料理人に馬の好物でケーキでも作らせて、浴びるほど食わせてやろうと心に決めた。



