魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)

 ザドもまた私に向けて地を蹴り、尖ったナイフが私へと突き進む。
 だが、私の狙いは、彼と武器を交えることではなく――。

 ――ブンッ!

 構えたフースの刃を彼に届く数歩前で地面に突き刺す。その行動にザドは私が怯えて目測を外したのだと、口角を吊り上げた。
 だが、その表情は、一瞬後まったく別の物に塗り替わる。

「なんっ――!?」

 足元に生じた強い振動の後、得体のしれない眩い紫の閃光が走り――……。

 ――ッドォンッ!
 
 顔の前に手を翳したザドの身体を、衝撃波で浮き上がらせた。
 しかも次いで――。

 ――ドン、ドン……ドドドドッ……!