魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)

 ザドはこちらの言葉を決して認めようとはせず、さらに店の中で当たり散らかし、私たちが心を込めて作ったいくつもの魔道具が壊されてゆく。でもそのことよりも私には、彼の存在が悲しく思えた……。どうしてこうなってしまったのか、少しだけ分かった気がして。

 彼はきっと、怖かったんだ。父や母が自分に優しくしてくれる反面、私に対して取っていた別人のように冷たい態度をずっと見ていたから……。自分もなにかの掛け違えで、いつこうなるか分からない。だから誰にも心を開けず、彼らと一緒に虐げる側に回らなければと、苛烈に信じ込まされてしまった……。一番弱かった私を貶め、周りにも己の胸にも自身が暴君であると刻むことで、誰も傍に寄せないように――自分だけを、守ろうとした。

 でも、彼は心のどこかで本当は、それではいつまでもひとりぼっちで、満たされないことが分かっていたのではないのか。
 彼の誰よりも柔く弱い心の中が見えてしまった気がして、私は呟いた。

「あなたは…………ずっと、寂しかったんじゃないの?」

 それは……ザドの激高を呼び。

「…………お前ぇぇ、今、俺を憐れんだな――!」