――怒りだ。
それを意識した瞬間、私はやっと自分の内に渦巻くその感情を口から吐き出す。
「あなたの考えは、絶対におかしい……! あなたが周りの人間を虐げていいなんて、だれが決めたんです!? ひとつずつの魂と体を持った人間だってことは、私たちなにも変わらないでしょう!? それがどうして……なにも生み出さず、大切なものを誰かから奪おうなんて考えられるの? ディクリド様や、ここハーメルシーズの人たちは、私にすべてを与えてくれながら、なにひとつ見返りを求めなかった……! だから私も、そのことを心から感謝し、彼らのために生きようってそう思えたんです! 奪うなんてことをしなくても、心を開けば助けてくれる人はいる! そのことに気付いて!」
「……お前ごときが、俺に説教だぁ?」
ザドの歯ががちりと合わさり、ぎりぎりと擦られた。
「お前のような、搾取されるだけの家畜になにが分かるッ! 金も立場も才能も、結局はひとつのところに集まるようになってるんだよ! それ以外のやつらは、地面を這いつくばい、身を寄せ合って一匹ずつ潰されていくのを震えて待つしかねぇ! そんなやつらが、互いに施し合うなんざ愚の骨頂だろうが! 俺様に屑共の倫理を解くな、屈辱だ!」
それを意識した瞬間、私はやっと自分の内に渦巻くその感情を口から吐き出す。
「あなたの考えは、絶対におかしい……! あなたが周りの人間を虐げていいなんて、だれが決めたんです!? ひとつずつの魂と体を持った人間だってことは、私たちなにも変わらないでしょう!? それがどうして……なにも生み出さず、大切なものを誰かから奪おうなんて考えられるの? ディクリド様や、ここハーメルシーズの人たちは、私にすべてを与えてくれながら、なにひとつ見返りを求めなかった……! だから私も、そのことを心から感謝し、彼らのために生きようってそう思えたんです! 奪うなんてことをしなくても、心を開けば助けてくれる人はいる! そのことに気付いて!」
「……お前ごときが、俺に説教だぁ?」
ザドの歯ががちりと合わさり、ぎりぎりと擦られた。
「お前のような、搾取されるだけの家畜になにが分かるッ! 金も立場も才能も、結局はひとつのところに集まるようになってるんだよ! それ以外のやつらは、地面を這いつくばい、身を寄せ合って一匹ずつ潰されていくのを震えて待つしかねぇ! そんなやつらが、互いに施し合うなんざ愚の骨頂だろうが! 俺様に屑共の倫理を解くな、屈辱だ!」



