「あの後なぁ……ファークラーテンの家は簡単に没落しちまったぜ。あっという間だ。父上は魔導具局の局員を辞めさせられないようにとどうにか掛け合ったが、今までどれだけ貢いでやったかわからねぇ奴らまで手の平返しやがって、話を聞いてもくれなかったそうだ。それで今では家で酒浸りの生活を送るだけのただのジジイになっちまった。母上はがっくり来ちまって部屋に引き篭ったきり顔も見せねぇ。大半の資産を没収されて、あの様子だと、使用人すら雇えなくなる日も近いだろうな……。ははは、たまたま手のひらに転がり込んだ幸運で成り上がっただけの無能共はこれだから……。なあ、お前もそう思っただろう?」
ザドはそんな家族の姿をあげつらうと、私に怨嗟の篭る視線をぶつけた。
「まあ、あんなごみ共のことはどうでもいいんだ。……俺だよ――俺様の将来がお前らのせいですべてフイになったんだ。その罪の重さが分かってるか?」
彼は足元に落ちていた仄火のロッドを強く踏みにじった。それはバキッと音を立ててへし折れ、先端から魔力の残滓を零す。
「くそっ……ソエルが馬鹿げたことを考えなきゃ……。それにお前だよ! お前が大人しく自分の境遇を受け入れときゃあ、俺は将来伯爵様か、王国魔導具局の幹部にでもなって、凡人には思いもつかない贅沢をできていたんだ! 美食も美女も思うがままの人生を送れてたってのによ! それが……ふふっ、ふは――」
ザドはそんな家族の姿をあげつらうと、私に怨嗟の篭る視線をぶつけた。
「まあ、あんなごみ共のことはどうでもいいんだ。……俺だよ――俺様の将来がお前らのせいですべてフイになったんだ。その罪の重さが分かってるか?」
彼は足元に落ちていた仄火のロッドを強く踏みにじった。それはバキッと音を立ててへし折れ、先端から魔力の残滓を零す。
「くそっ……ソエルが馬鹿げたことを考えなきゃ……。それにお前だよ! お前が大人しく自分の境遇を受け入れときゃあ、俺は将来伯爵様か、王国魔導具局の幹部にでもなって、凡人には思いもつかない贅沢をできていたんだ! 美食も美女も思うがままの人生を送れてたってのによ! それが……ふふっ、ふは――」



