そのふたつの刃は、途中で腕を振り下ろす勢いに同期せず、滑るように舞い上がってどこかへ消えた。耳に遅れて儚く高い音が重なって響き、美しい幾つもの金属片が空に散らばる。
双剣はまたも砕かれたのだ。それも二本同時に……。
万全を期して後方に位置し、これまで体力を温存してきたファルガーからすれば、それは前回とは違って完膚なきまでの敗北だった。
横凪ぎの斬撃を振り抜いたディクリドは……身体を切り裂かれて仰け反り、今にも崩れそうなファルガーが自分の方に視線を向けたのを目の端で捉える。
最後に、口元が動いてなにかを呟き――なぜかその顔は少しだけ満足したようにも見えた。
そして夥しい量の血を流したその体はゆっくりと傾くと、馬上から地面へと落ち、大の字で動かなくなる。戦場であると思えないほどの静寂で場が満ち――。
……ディクリドは勝利した。
叔父の仇を打ち終えたというのに、不思議と嬉しいという気持ちは湧いてこない。
しばらく彼はその腕をだらりと下げていたが……やがて剣の柄をしっかり握り直すと、頭上に掲げ決闘の結果を知らしめた。
双剣はまたも砕かれたのだ。それも二本同時に……。
万全を期して後方に位置し、これまで体力を温存してきたファルガーからすれば、それは前回とは違って完膚なきまでの敗北だった。
横凪ぎの斬撃を振り抜いたディクリドは……身体を切り裂かれて仰け反り、今にも崩れそうなファルガーが自分の方に視線を向けたのを目の端で捉える。
最後に、口元が動いてなにかを呟き――なぜかその顔は少しだけ満足したようにも見えた。
そして夥しい量の血を流したその体はゆっくりと傾くと、馬上から地面へと落ち、大の字で動かなくなる。戦場であると思えないほどの静寂で場が満ち――。
……ディクリドは勝利した。
叔父の仇を打ち終えたというのに、不思議と嬉しいという気持ちは湧いてこない。
しばらく彼はその腕をだらりと下げていたが……やがて剣の柄をしっかり握り直すと、頭上に掲げ決闘の結果を知らしめた。



