魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)

「そんなものが、あるのだとしても……オレは自らを変えはせぬ! 貴様の言うことがただの絵空事であると、この手で証明し、この命果てるまでオレの知る強さを貫くのみよ! 問答は終わりだ!」

 ファルガーは勢いよく鐙を蹴って馬を走らせ、鎧の色と風景が同化するほどに加速し、赤い矢となってディクリドへと突き進んだ。馬の突進力と己のすべてを乗せた、最高の一撃。
 恐るべき気迫を持って放たれた一撃を、ディクリドは静かに待ち受けた。

 今まで戦場で見送ってきた仲間たちの顔がいくつも浮かび、その度に身体に力が漲る。
 父と母、そして叔父も、力を貸してくれる。

 そして、誓いを交わしたサンジュの泣き出しそうな笑顔も――。

「散れッ!」

 狂ったように叫ぶファルガーの両肩口から、二本の剣が同時に振り下ろされた。
 それはディクリドの肌に沈み込み、手応えを確信したファルガーの口元がわずかに上がりかけた。だが……。

「――――なっ……!?」