「いいや。単純にあの時の続きができることを嬉しく思っている。こんな場でも用意して貰わなければ、オレという人間は生きている意味を感じることができぬのだ。【獅子変化】……このような魔術を身に宿し、化け物だと人から石を投げつけられて育てば、自然とそうなる。国に飼われてでも憎しみをぶつけ、踏みにじる相手を見つけねば……そうして、強者に手のひらを反す国民たちを愚かだと笑ってやらねば満たされんのだよ。お前にも多少はわかるのではないか?」
どうやら、ファルガーはファルガーで、マルディール軍にてのし上るまで壮絶な環境で過ごして来たらしい。
ディクリドとて、彼の言うことは少しだけ分からなくもない。叔父があの時、はっきりと認めてくれなければ、自身も人に対しての憎しみを抱えて生きることになっていたかもしれない。しかしそのような同情は今や無用の感情だと、あえてディクリドは厳しく言い切った。
「それはお前の弱さだ。多くの者から異端と罵られる苦しみに、お前は人との関わりを諦めて捨てた。その中にこそ自分が求めるものがあることがわかっていてな」
「言いよるな若造が。だが説教などでオレの心は今さら動かぬ。戦場では勝った者のみが主張を許される。お前の言葉が正しいと言うならば、それを力によって証明してみせるがいい」
「言わずもがなだ」



