隣り合ってベッドサイドに座ると、私は腕を拡げる。
「ここには誰もいません、あなたと私だけ……。ですから、今だけ私のことを家族だと思って、思い出話をしてみませんか?」
もっと、彼のことを知りたい――これが、そう思った私にできる精一杯のことだった。
私が、彼の家族に代わってあげられたなら、どれだけよかっただろう。思い出を共有し、あなたのして来たことをずっと見ていたよ、頑張ったねと褒めてあげられれば、どれほどの救いになっただろう。でももう、それをしてあげられる人は彼の周りにも、どこにも居ないのだ。
ならせめて……私は今までの彼を知り、これからの彼を見届けたい。そしてその大きな荷物の何十分の一だっていいから、一緒に背負わせて欲しい。
「サンジュ、それは……」
ディクリド様は、動揺したように身を引くが、私は逃がさないように彼の手を掴むと、諦めずに語り掛ける。
「教えて欲しいんです。あなたのご家族がどんな人たちで、どんな風にあなたのことを慈しみ、育ててくれたか。さあ……目を閉じて。そんなに大事な人たちだったなら、会いたいと願えば、記憶の中でならきっと出会えますから」
「ここには誰もいません、あなたと私だけ……。ですから、今だけ私のことを家族だと思って、思い出話をしてみませんか?」
もっと、彼のことを知りたい――これが、そう思った私にできる精一杯のことだった。
私が、彼の家族に代わってあげられたなら、どれだけよかっただろう。思い出を共有し、あなたのして来たことをずっと見ていたよ、頑張ったねと褒めてあげられれば、どれほどの救いになっただろう。でももう、それをしてあげられる人は彼の周りにも、どこにも居ないのだ。
ならせめて……私は今までの彼を知り、これからの彼を見届けたい。そしてその大きな荷物の何十分の一だっていいから、一緒に背負わせて欲しい。
「サンジュ、それは……」
ディクリド様は、動揺したように身を引くが、私は逃がさないように彼の手を掴むと、諦めずに語り掛ける。
「教えて欲しいんです。あなたのご家族がどんな人たちで、どんな風にあなたのことを慈しみ、育ててくれたか。さあ……目を閉じて。そんなに大事な人たちだったなら、会いたいと願えば、記憶の中でならきっと出会えますから」



