魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)

 意味が分からず、ディクリドは配下を見つめ返した。その表情は緊張に包まれ、とても冗談事を口にしている雰囲気ではない。

「なにを言う……。母上は、確かに……」

 ディクリドは視線を地面に移した。今や足元は散らばった花びらで覆われ、新雪の絨毯の上にいるかのようだ。母の好きな花……それを引き金にして、急速に記憶を覆っていた霧が晴れてゆく。

「花束を贈って、母上は嬉しそうに喜んでいた。それ……が」

 ディクリドの体内からすべての力が抜け、湿った土で汚れるのも構わずに腰を落とす。
 そして、思い出したのは……。

『ごめんなさい、ディクリド』

 母の謝罪の声と、涙。そして……――。

「………………お、お…………俺は……母上を、殺した、のか?」