その変化は、人と狼の中間で止まり異様な姿に見える。でも私はそれを恐れずに済んだ。たとえ形が変わっても、私を映すその落ち着いた瞳は、なんら変わるところがなかったからだ。
「あの時は、驚かせてしまったな。悪かった」
「い、いえそんな……。私こそ……」
身を投げた時の事を律儀に謝ってくれる彼の傍に、私はゆっくりと近付いてゆく。
「あの……ちょっとだけ触れてみてもよいですか?」
「この姿も怖ろしくないか。そんなことを言われたのは、家族以来だが……」
彼は一番変化の大きい頭部に触れさせようとしてくれたのか、その場に跪く。私はそれを申し訳なく思いながらも、好奇心から、頭部に突き出したふたつの獣の耳に、そっと指を伸ばした。つまんで感触を確かめてみると、それは意志を持っているかのように、両側に伏せる。その後も頭部に手を滑らすと、いつぞや触らせてもらったシャルビュ号よりも柔らかく長い被毛が、私の手を擽った。
(あったかい……)
気付けば、穏やかな生命の感触に夢中になっていた私だったが、その内に変化が生じ、再び彼の身体が光に包まれ始める。
「あの血の量であれば、これくらいだな」
「あの時は、驚かせてしまったな。悪かった」
「い、いえそんな……。私こそ……」
身を投げた時の事を律儀に謝ってくれる彼の傍に、私はゆっくりと近付いてゆく。
「あの……ちょっとだけ触れてみてもよいですか?」
「この姿も怖ろしくないか。そんなことを言われたのは、家族以来だが……」
彼は一番変化の大きい頭部に触れさせようとしてくれたのか、その場に跪く。私はそれを申し訳なく思いながらも、好奇心から、頭部に突き出したふたつの獣の耳に、そっと指を伸ばした。つまんで感触を確かめてみると、それは意志を持っているかのように、両側に伏せる。その後も頭部に手を滑らすと、いつぞや触らせてもらったシャルビュ号よりも柔らかく長い被毛が、私の手を擽った。
(あったかい……)
気付けば、穏やかな生命の感触に夢中になっていた私だったが、その内に変化が生じ、再び彼の身体が光に包まれ始める。
「あの血の量であれば、これくらいだな」



