いつもは無骨な石の塊にしか見えない城のそこかしこは色とりどりの花々で飾り付けられ、賑々しい雰囲気の中、私たちが入場すれば楽隊が一気にファンファーレを鳴らしてくれる。たちまち私たちは煌びやかな非日常の世界に一気に意識を引き寄せられることとなった。
とはいえ……新年の宴の開始までにはまだ時間がある。美しく飾られた城の中でも見物しながら、旧知の人物に声を掛けて回ろうかとリラフェンと話し合っていたところ、ひとりの人物が人混みを縫って歩み寄ってきた。
「リラフェン、サンジュ。よく来てくれたね」
「フィッツ!」
リラフェンが顔をぱっと輝かせて、フィトロさんに抱き着いた。その素直な愛情表現を嬉しそうに受け取ると、彼はそっとその頬にキスをする。
「ご無沙汰してます」
「間に合ってよかった。その様子だと、今日も時間いっぱいまで仕事してたみたいですね。いつ来るのかとやきもきしていました、僕もディクリド様もね」
仲のよいふたりの様子に微笑んでいると、フィトロさんは抱き上げていたリラフェンを下ろして、ふと考え込む。
とはいえ……新年の宴の開始までにはまだ時間がある。美しく飾られた城の中でも見物しながら、旧知の人物に声を掛けて回ろうかとリラフェンと話し合っていたところ、ひとりの人物が人混みを縫って歩み寄ってきた。
「リラフェン、サンジュ。よく来てくれたね」
「フィッツ!」
リラフェンが顔をぱっと輝かせて、フィトロさんに抱き着いた。その素直な愛情表現を嬉しそうに受け取ると、彼はそっとその頬にキスをする。
「ご無沙汰してます」
「間に合ってよかった。その様子だと、今日も時間いっぱいまで仕事してたみたいですね。いつ来るのかとやきもきしていました、僕もディクリド様もね」
仲のよいふたりの様子に微笑んでいると、フィトロさんは抱き上げていたリラフェンを下ろして、ふと考え込む。



