魔導工学の修得を途中で放り出したザドにはよく理解できていなかったが、サンジュは非常に高度な技術でもって、余人の何倍ものスピードで魔導具の核たる術式盤に魔術を刻むことができた。
それは他の人員にやらせても上手く行かないか、恐ろしく時間がかかり、一部の製造が簡単な物を除いて、店舗の在庫は今かなり数を減らしている。だが、その問題もすでに、新しい魔導具師を倍以上に増やしたことで解決する見込みだ。経営状態にこれ以上暗雲が立ち込めることはないだろう。
(口うるさい兄貴も居なくなったし……これで後はサンジュさえこの手で見つけられりゃ、父上の関心も兄上から俺に移るはずだぜ。吠え面掻けよ、クソ兄貴が……クックッ)
女たちから手渡されたワインを啜り、ザドは喉を震わせた。
サンジュの行方は依然として知れない。もしザドが先んじて彼女を見つけることがあれば……元の様に彼女を魔導具店の作業員として酷使するもよし、父への交渉次第では、自分こそが次期当主に成り代わることも可能かもしれない。
そうすれば、もはや自分は高位貴族の末席に食い込む。元はしがない平民の息子でしかなかった彼が、自身の代で望みうる贅沢として、これ以上はないだろう。
それは他の人員にやらせても上手く行かないか、恐ろしく時間がかかり、一部の製造が簡単な物を除いて、店舗の在庫は今かなり数を減らしている。だが、その問題もすでに、新しい魔導具師を倍以上に増やしたことで解決する見込みだ。経営状態にこれ以上暗雲が立ち込めることはないだろう。
(口うるさい兄貴も居なくなったし……これで後はサンジュさえこの手で見つけられりゃ、父上の関心も兄上から俺に移るはずだぜ。吠え面掻けよ、クソ兄貴が……クックッ)
女たちから手渡されたワインを啜り、ザドは喉を震わせた。
サンジュの行方は依然として知れない。もしザドが先んじて彼女を見つけることがあれば……元の様に彼女を魔導具店の作業員として酷使するもよし、父への交渉次第では、自分こそが次期当主に成り代わることも可能かもしれない。
そうすれば、もはや自分は高位貴族の末席に食い込む。元はしがない平民の息子でしかなかった彼が、自身の代で望みうる贅沢として、これ以上はないだろう。



