……先日、ベラさんの知り合いは城内でフィトロさんの姿を見かけた。そこまではなんの不思議もない。しかし、その隣には……なんと、見目麗しい若い女性の姿があったのだ。流れるような見事な金髪を帯びたその女性は、生き生きとした蒼い瞳を常にフィトロさんに向けており、彼の方もまんざらではない様で肩を寄せ合い、楽しそうに話していたのだと――。
「それでさ……その扱いようからして、もしかしたらその人、婚約者なんじゃないかって」
「ええっ!?」
びっくりしつつも、フィトロさんのことを考えればなにもおかしくはない。確か年齢は二十の半ばに差し掛かった頃で、優美な佇まいに、物腰も穏やかかつ仕事のできる男性となれば、女性に好意を抱かれるのも当然のこと。事実、リラフェンも彼には女性の影が絶えないと冗談交じりに不満を漏らしていたほどだ。
だがいつもならば、ちょっと機嫌を損ねたふりをして笑い話で済ませる彼女が、今回に関しては相当にショックを受けている様子だった。それを考えると……。
「リラフェンには家族はいないし、フィトロさんがあの子にとっては身近で、唯一信頼できる男性だったわけだから、色々思うところがあるんでしょうね。あの子の本当の気持ちはあの子にしかわからないわけだしさ」
「それでさ……その扱いようからして、もしかしたらその人、婚約者なんじゃないかって」
「ええっ!?」
びっくりしつつも、フィトロさんのことを考えればなにもおかしくはない。確か年齢は二十の半ばに差し掛かった頃で、優美な佇まいに、物腰も穏やかかつ仕事のできる男性となれば、女性に好意を抱かれるのも当然のこと。事実、リラフェンも彼には女性の影が絶えないと冗談交じりに不満を漏らしていたほどだ。
だがいつもならば、ちょっと機嫌を損ねたふりをして笑い話で済ませる彼女が、今回に関しては相当にショックを受けている様子だった。それを考えると……。
「リラフェンには家族はいないし、フィトロさんがあの子にとっては身近で、唯一信頼できる男性だったわけだから、色々思うところがあるんでしょうね。あの子の本当の気持ちはあの子にしかわからないわけだしさ」



