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まず私が訪れたのは街の外に広がる広大な農場だった。
二、三カ月前に小麦の収穫が終わった大地は、赤茶けた土を晒している。もうそろそろ秋播きの小麦は種を蒔かなければいけない時期だ。そこらじゅうで鍬を振るっている人たちがいる中、私は周りに指示をしつつ、一心に大地を耕す男性を見つけて話しかけた。
「あの……あなたがこの辺りの農場をお持ちになっている方ですか?」
「ああ、そうだよ。おいらはウィリーってんだ。そういや、ランツ子爵がなんだかお客さんが、見たことのない便利な道具を持って来るって言ってたけど、それってあんたかね?」
髭を蓄え、麦藁帽を被ったウィリーさんは、鍬の刃を下にして柄に寄りかかりながら、首に巻いたタオルで汗を拭いた。その言葉に私はフィトロさんが根回ししておいてくれたのだと知り、コクコクと頷く。
「そうなんです。私、このファルメルの街で新しく魔導具のお店を開いた、サンジュという者なのですが……」
私は一応持ってきた広告を渡してみるが、理解してくれた様子はあまりなさそうで、すぐにそれはポケットに仕舞われる。
「サンジュさんねぇ。んでなんだい、その窓ぉ……具ってのは? ガラス屋さんかなにかかい?」
「ま、魔導具です。魔術の力を使った道具のことです」
まず私が訪れたのは街の外に広がる広大な農場だった。
二、三カ月前に小麦の収穫が終わった大地は、赤茶けた土を晒している。もうそろそろ秋播きの小麦は種を蒔かなければいけない時期だ。そこらじゅうで鍬を振るっている人たちがいる中、私は周りに指示をしつつ、一心に大地を耕す男性を見つけて話しかけた。
「あの……あなたがこの辺りの農場をお持ちになっている方ですか?」
「ああ、そうだよ。おいらはウィリーってんだ。そういや、ランツ子爵がなんだかお客さんが、見たことのない便利な道具を持って来るって言ってたけど、それってあんたかね?」
髭を蓄え、麦藁帽を被ったウィリーさんは、鍬の刃を下にして柄に寄りかかりながら、首に巻いたタオルで汗を拭いた。その言葉に私はフィトロさんが根回ししておいてくれたのだと知り、コクコクと頷く。
「そうなんです。私、このファルメルの街で新しく魔導具のお店を開いた、サンジュという者なのですが……」
私は一応持ってきた広告を渡してみるが、理解してくれた様子はあまりなさそうで、すぐにそれはポケットに仕舞われる。
「サンジュさんねぇ。んでなんだい、その窓ぉ……具ってのは? ガラス屋さんかなにかかい?」
「ま、魔導具です。魔術の力を使った道具のことです」



