魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー（ザ・マーグレーヴス・パーベヤー）

　それについては私も実家で一通りの教育を受けていたから同じだ。この店のことをちゃんと知ってもらおうとするための行動が裏目に出た。そんな私たちのショックは大きい。

「やはり、この街の人たちがいかに大らかだとはいえ、よく知らない業態のお店がいきなり開かれ、自分たちには読めない怪しい広告を振りまいて宣伝をしているとなると、まずは不審に思って当然でしょう。このお店がこれから街に馴染んでいくためには、その不信感を住民から拭い去る必要があるでしょうね。それでサンジュ、あなたにはいくつかその魔導具たちを携え、回ってもらいたいところがあります」

　フィトロさんは地図を懐から取り出すと、いくつかの場所に印を付けて渡してくれた。

「これは……？」
「そこに居る人たちの信頼を得ることが出来れば、この店の強い味方になってくれることでしょう。さあ、自分の手で道を切り拓いて見てください、あなたならできますよ！」

　そして私はフィトロさんに背中を押され、リラフェンに店を任せると、そのまま街人たちのもとへ出張することになった……。