「あんた、晩御飯まで抜くつもり? そんな不健康な生活はこのあたしが許しませんからね!」
「……そうだったね、ごめん」
そうだ。ここはもう、あそこじゃない……そんな実感を胸に、私は手から離れがたい鑿と槌を置く。そして手入れ油でそっと真新しい輝きを宿すそれらを拭うと、道具袋にしまう。
そしてその表面を撫で、部屋の入口で待っていてくれたリラフェンの元へ走る。今はこうして私を気遣ってくれる人がいる。だから前のようには、ずっとあなたたちに触れていられないけれど……。
(今日もありがとう。また、明日からよろしくね)
小さな感謝を告げ、私は作業部屋の扉を閉める。
その胸には、またこの手で様々なものを生み出せる喜びが湧き始めていた。
そんな一幕もあり……一方で街頭で手書きの広告などもリラフェンに配ってもらったりして、ファルメルの街の人に周知して回った上で、本日――魔導具店“辺境伯の御用達”は盛大に開店する。
「……そうだったね、ごめん」
そうだ。ここはもう、あそこじゃない……そんな実感を胸に、私は手から離れがたい鑿と槌を置く。そして手入れ油でそっと真新しい輝きを宿すそれらを拭うと、道具袋にしまう。
そしてその表面を撫で、部屋の入口で待っていてくれたリラフェンの元へ走る。今はこうして私を気遣ってくれる人がいる。だから前のようには、ずっとあなたたちに触れていられないけれど……。
(今日もありがとう。また、明日からよろしくね)
小さな感謝を告げ、私は作業部屋の扉を閉める。
その胸には、またこの手で様々なものを生み出せる喜びが湧き始めていた。
そんな一幕もあり……一方で街頭で手書きの広告などもリラフェンに配ってもらったりして、ファルメルの街の人に周知して回った上で、本日――魔導具店“辺境伯の御用達”は盛大に開店する。



