私が、どんな一文に惹かれて、思わず読み進めることになったのかって言うのはね。
『両親が亡くなって親せき宅で肩身の狭い生活を送っていた小学生の男の子が、家族で住んでいた家に戻りたくなって衝動的にホームで電車を待つ。…しかし、電車が入って来たその瞬間、誰かに背中を押されて…』
そこから先は、良くある異世界転生、ファンタジーの物語なのだけれど。
彼のやって来たファンタジーの世界と現実世界はどうやら何かが繋がっているようで、背中を押して線路へ落とした『誰か』も関わっている。
…みたいな、そんな話になっていて。
なんで気になったのか、気にとめたのか、それはすっごく単純な話しでしかなくて。
私が、階段から突き落とされた日だったのだ。
背中を誰かに押されて、踊り場までの十数段を転がって、膝とあばらに青あざと擦り傷が出来た。
大きな怪我ではなかったけれど、心にはぽっかりと穴が空いてしまった。
そんな出来事があった日だったからか、偶然にも同じ「背中を押されて」に強く反応してしまったのだった。



