「…ねぇ、初歌ちゃん」 「なぁに?」 悠くんはいつもよりも真剣な表情で私を見つめてきて、私も緊張してしまう。 「………難波(なにわ)初歌(ういか)ちゃん」 「っ、え……?」 その名字を聞いて、私は目を見開いた。 嘘…だって、その名字は…。 私が唖然としていると、悠くんは眉尻を下げて私を見た。 「初歌ちゃん、やっぱり僕のこと…“覚えてない”よね?」 「え…?」